第3種 電力 R2年度

電験三種 令和2年度 電力 問5『太陽光発電に関する問題』

問題

次の文章は,太陽光発電に関する記述である。
太陽光発電は,太陽電池の光電効果を利用して太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する。地球に降り注ぐ太陽光エネルギーは,1m2当たり1秒間に約\fbox{(ア)}kJに相当する。太陽電池の基本単位はセルと呼ばれ,\fbox{(イ)}V程度の直流電圧が発生するため,これを直列に接続して電圧を高めている。太陽電池を系統に接続する際は,\fbox{(ウ)}により交流の電力に変換する。
一部の地域では太陽光発電の普及によって\fbox{(エ)}に電力の余剰が発生しており,余剰電力は揚水発電の揚水に使われているほか,大容量蓄電池への電力貯蔵に活用されている。

上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

 

解説

(ア)

地球の地表面に降り注ぐ太陽光のエネルギーは一般に,1kW/m2と言われています。Wは一秒間に1Jの仕事が行われるときの仕事率であるので,地球に降り注ぐ太陽エネルギーは1秒間に約1kJとなります。

(イ)

太陽電池のセルとは,太陽光を電気に変換する素子のことです。セルを必要な数だけ配列して,屋外などでも使用できるように枠やガラスカバーなどで覆われたものは,太陽電池モジュール(太陽光パネル)と呼ばれます。一般的に購入できるのは太陽電池モジュールです。太陽電池モジュールをいくつか並べたものは,太陽電池アレイと呼ばれています。
太陽電池のセルは0.5〜1Vと電圧が低いため,セルをいくつか直列に接続してモジュールとして必要な電圧にしています。

(ウ)

太陽電池で発生する電気は直流ですが,これを配電線などの電力の系統に接続するためには,交流に変換する必要があります。電力を変換するための装置の用語として,一般的には直流を交流に変換するインバータや,交流を直流に変換するコンバータがあります。
太陽電池を電力系統に接続するためには,パワーコンディショナと呼ばれる装置が用いられます。この装置には,直流を交流に変換するためのインバータや,太陽電池の出力を常に最大に保つための機能,電圧・周波数を監視するための機能などが含まれています。

(エ)

太陽電池は光により発電しますので,多く発電する時間帯は日中になります。夏場の暑いときの平日などは,電気の使用量そのものが多いので,太陽光発電による電力の余剰は問題になりませんが,5月のゴールデンウィークなど,気温もほどよく,工場の多くがお休みしている電気の使用量が少ない時期には,太陽光発電の量が多くなり余剰電力が問題となります。
2018年頃より,特に九州電力の管内では太陽光発電の導入量が増えたことにより,電気の需要が少ない日中に太陽光発電の出力の停止の要請が出されたりするようになってきています。

 

解答

(3)
 

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