第3種 電力 R2年度

電験三種 令和2年度 電力 問15『水力発電所の計画に関する問題』

問題

ある河川のある地点に貯水池を有する水力発電所を設ける場合の発電計画について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)流域面積を15 000 km2,年間降水量750 mm,流出係数0.7とし,年間の平均流量の値[m3/s]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)25 (2)100 (3)175 (4)250 (5)325

(b)この水力発電所の最大使用水量を小問(a)で求めた流量とし,有効落差100m,水車と発電機の総合効率を80%,発電所の年間の設備利用率を60%としたとき,この発電所の年間発電電力量の値[kW・h]に最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

 

解説

(a)

降水量は降った雨を貯めた場合に,水位がどうなるかを表したものです。年間降水量が750mmの雨を流域面積15000km2で受け止めるた場合の総雨量は,流域面積に降水量を掛けることで求めることが出来ます。

15,000 \times 10^{6} \times 750 \times 10^{-3} = 11,250 \times 10^6 m3

この総雨量のうち,どの程度の雨量が水力発電所の貯水池にまで到達するかを表す係数が流出係数であり,問題の場合は70%ですので,1年間に貯水池に到達する総雨量は,以下のとおりとなります。

11,250 \times 10^6 \times 0.7 = 7,875 \times 10^6 m3

求める値は貯水池のある河川の年間の平均流量ですので,上記の総雨量を1年間(秒で表現)で割ることで求まります。

\dfrac{7,875 \times 10^6 }{365 \times 24 \times 60 \times 60} = 249.7 \fallingdotseq 250 m3/s

 

(b)

発電所の年間発生電力量を求めるためには,まずは発電所の出力を計算しておく必要があります。

水力発電所の理論出力P[kW]は,使用水量をQ[m3],有効落差をH[m],総合効率を\etaとすると,

P = 9.8 QH \eta [kW]

となります。この式より,問題で与えられた値を用いて発電所の出力を求めると,

P = 9.8 \times 250 \times 100 \times 0.8 = 196,000 [kW]

となります。

この発電所で1年間に発電可能な発電電力量は,発電所出力に1年間の時間数(8760時間)を掛けることで求まります。

196,000 \times 8760 = 1,716,960 \times 10^3 [kWh]

上記の値は,発電所を1年間フルに使った場合の発電電力量ですが,問題では発電所の設備利用率が60%ですので,これに60%を掛けることで,問題の答えが得られます。

1,716,960 \times 10^3 \times 0.6 = 1,030,176 \times 10^3 \fallingdotseq 1,000,000,000 [kWh]

 

解答

(a)(4)
(b)(4)

 

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