問題
図のような系統構成の三相3線式配電線路があり,開閉器Sは開いた状態にある。各配電線のB点,C点,D点には図のとおり負荷が接続されており,各点の負荷電流はB点40A,C点30A,D点60A一定とし,各負荷の力率は100%とする。
各区間のこう長はA-B間1.5km,B-S(開閉器)間1.0km,S(開閉器)-C間0.5km,C-D間1.5km,D-A間2.0kmである。
ただし,電線1線当たりの抵抗は0.2Ω/kmとし,リアクタンスは無視するものとして,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a)電源A点から見たC点の電圧降下の値[V]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,電圧は相間電圧とする。
(1)41.6 (2)45.0 (3)57.2 (4)77.9 (5)90.0
(b)開閉器Sを投入した場合,開閉器Sを流れる電流iの値[A]として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)20.0 (2)25.4 (3)27.5 (4)43.8 (5)65.4
解説
(a)
電圧降下を計算するためには,配電線の各区間に流れる電流の大きさとその区間の抵抗値が必要となるため,まずは抵抗値を求めます。D-A間の抵抗を R_{DA} [Ω],C-D間の抵抗を R_{CD} [Ω]とすると,
R_{DA} = 0.2 \times 2 = 0.4 [Ω]
R_{CD} = 0.2 \times 1.5 = 0.3 [Ω]
となります。
C-D間に流れる電流は,C点に接続される負荷の電流のみのため30[A]です。D-A間に流れる電流は,D点に接続される負荷の電流とC-D間に流れる電流の和となるため,
30+60 = 90 [A]
となります。
これを図にすると,下図のとおりとなります。
A点からみたC点の電圧降下,すなわちC-A間の電圧を求めると,
90 \times 0.4 + 30 \times 0.3 = 45 [V]
となります。
求める電圧の大きさは相間電圧で表現する必要があるため,これを \sqrt{3} 倍して,
\sqrt{3} \times 45 \fallingdotseq 77.9 [V]
となります。
(b)
開閉器Sを投入すると,点Cに接続される負荷には,点Aから点Bを経由する経路と,点Aから点Dを経由する経路の2通りの経路を通って電流が供給されるようになります。問題で求められている開閉器Sを流れる電流iは,点Bを経由して供給される電流の大きさです。点Dを経由して供給される電流は,C-D間に流れる電流であるため,これを i_{CD} [A] とすると,点Cから負荷に流れる電流の大きさが30Aですので,以下の式が成り立ちます。
i + i_{CD} = 30 ・・・①
また,点Aから点Bを経由して点Cに流れる電流によるA-C間の電圧降下を V_{ABC} ,点Aから点Dを経由して点Cに流れる電流によるA-C間の電圧降下を V_{ADC} とすると,2つの経路が並列接続であるため,これらの値は等しくなります。この関係と式①の関係を使って,電流iの値を求めることができます。
V_{ABC} 及び V_{ADC} を式で表すため,各区間の抵抗値を求めると以下のとおりとなります。
A-B間の抵抗 : 0.2 \times 1.5 = 0.3 [Ω]
B-C間の抵抗 : 0.2 \times 1.5 = 0.3 [Ω]
D-A間の抵抗 : 0.4 [Ω] ((a)で求めた値)
C-D間の抵抗 ; 0.3 [Ω] ((a)で求めた値)
各区間に流れる電流は,点B及び点Dに接続されている負荷に流れる電流を考慮すると下図のとおりとなります。
この図から, V_{ABC} 及び V_{ADC} を求めると,
V_{ABC} = 0.3(40+i)+0.3i
V_{ADC} = 0.4(60+i_{CD})+0.3i_{CD}
となり,この2つの値が等しいため,
0.3(40+i)+0.3i = 0.4(60+i_{CD})+0.3i_{CD}
12+0.6i = 24+0.7i_{CD}
0.6i - 0.7i_{CD} = 12 ・・・②
式①から i_{CD} を求めると,
i_{CD} = 30 - i
であるので,これを式②に代入することで,iの値を求めることができます。
0.6i - 0.7(30-i) = 12
0.6i - 21 + 0.7i = 12
1.3i = 33
i \fallingdotseq 25.4
解答
(a)(4)
(b)(2)