第3種 機械 R2年度

電験三種 令和2年度 機械 問12『照明に関する計算問題』

問題

教室の平均照度を500lx以上にしたい。ただし,その時の光源一つの光束は2400lm,この教室の床面積は15m×10mであり,照明率は60%,保守率は70%とする。必要最小限の光源数として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)30  (2)40  (3)75  (4)115  (5)150

 

解説

照明に関する問題ですが,まずは用語の説明から行います。

光束とは,光の明るさを表す量です。光を発する物体である光源からは,人の目で見ることができないエネルギーも含めて放射されていますが,それらの放射束のうち,人の目で捉えられるもの,すなわち光の量を指しています。単位はルーメン[lm]です。
今回の問題では出ていませんが,光束を立体角で割ったものは光度と呼ばれています。単位はカンデラ[cd]で,まぶしさを表す際に用いられます。

照度とは,照らされる面の明るさのことであり,単位はルクス[lx]です。その面に入射する光束をF[lm],面の面積をS[m2]とすると,照度E[lx]は,単位面積あたりの入射光束で表され,

E = \dfrac{F}{S}

となります。

照明率とは,光源から出た光が,光を必要とする面に到達する割合のことです。光源から出た光は天井や壁などで反射したりしながら,光を必要とする面に到達するため,これを割合で表したものです。

最後に保守率についてです。
照明設備は時間の経過とともに設備の劣化や汚れなどにより,初期の頃の明るさは失われていきます。このため,照明設備を設置するときには,あらかじめ設備の劣化を見込んで,必要とされる明るさ以上の照明設備を設置するという考え方が用いられています。必要とされる照度をEt,設備の劣化を見込んだ設置時の照度をEiとしたとき,これらの比を保守率といい,以下の式で定義されます。

\dfrac{E_t}{E_i}

ある一定の期間を経過した後においても,必要とされる明るさを確保するための補正係数とも言えます。

以上を踏まえて,問題を解いていきます。

教室の平均照度を500[lx]以上とするために必要となる照明の数を求める問題です。問題では照明1個の光束が2400[lm]で,照明率が60%であるため,照明1個での照度は,教室の床面積が150m2ですので,

\dfrac{2400}{150} \times 0.6 = 9.6 [lx]

となります。

必要な明るさは500[lx]以上ですので,必要な照明の数は,照明1個あたりの照度が9.6[lx]であるため,

\dfrac{500}{9.6} \fallingdotseq 52.08

となります。

保守率が70%であるため,初期に必要な照明の個数は

\dfrac{52.08}{0.7} = 74.4

となり,これを切り上げて75個となります。

 

解答

(3)

 

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