第3種 法規 R2年度

電験三種 令和2年度 法規 問5『地中電線路の施設に関する問題』

問題

「電気設備技術基準の解釈」に基づく地中電線路の施設に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)地中電線路を管路式により施設する際,電線を収める管は,これに加わる車両その他の重量物の圧力に耐えるものとした。
(2)高圧地中電線路を公道の下に管路式により施設する際,地中電線路の物件の名称,管理者名及び許容電流を2mの間隔で表示した。
(3)地中電線路を暗きょ式により施設する際,暗きょは,車両その他の重量物の圧力に耐えるものとした。
(4)地中電線路を暗きょ式により施設する際,地中電線に耐燃措置を施した。
(5)地中電線路を直接埋設式により施設する際,車両の圧力を受けるおそれがある場所であるため,地中電線の埋設深さを1.5mとし,堅ろうなトラフに収めた。

 

解説

地中電線路というのは,文字通り地面の下,地中に設置された電線路のことです。この問題は地中電線路を設置する際に守るべき事項についての問題ですが,その具体的な規定は「電気設備技術基準の解釈」の第120条から第125条にあります。各条文に記載されている具体的な項目は以下のとおりです。

第120条 地中電線路の施設
第121条 地中箱の施設
第122条 地中電線路の加圧装置の施設
第123条 地中電線の被覆金属体等の接地
第124条 地中弱電流電線への誘導障害の防止
第125条 地中電線と他の地中電線等との接近又は交差

問題の地中電線路の施設方法は,第120条に記載されています。この条文の第1項に地中電線路の施設方法の基本が記載されており,その方法は

・地中電線路に使用できる電線は,電力ケーブルのみであること
・施設は,管路式,暗きょ式,直接埋設式とすること

となっています。参考に第120条第1項を以下に記載します。

『第120条 地中電線路は、電線にケーブルを使用し、かつ、管路式、暗きょ式又は直接埋設式により施設すること。 なお、管路式には電線共同溝(C.C.BOX)方式を、暗きょ式にはキャブ(電力、通信等のケーブルを収納するために道路下に設けるふた掛け式のU字構造物)によるものを、それぞれ含むものとする。』

上記条文に出てくる用語を少し補足します。

電力ケーブルとは,電気の流れる導体の周りを絶縁体などで被覆し,さらにそれをシースと呼ばれる絶縁体を保護するための外皮で覆った電線のことです。電力ケーブルでネットで検索すれば,色々な電力ケーブルの写真を見ることができます。

施設方法の管路式というのは,電力ケーブルを管の中に入れて,地中に敷設する方法です。使用する管路は,鉄製,コンクリート,強化プラスチックなど,色々な材質のものがあります。

暗きょ式というのは,洞道(とうどう)といわれる地下トンネルのような構造物の側面や床面に,電力ケーブルを敷設する方法です。

直接埋設式とは,文字通り,電力ケーブルを直接地中に埋設する方法のことです。

基本的な敷設方法の詳細な規定は「電気設備技術基準の解釈」第120条第1項以降に記載されていますが,この問題はその詳細な規定に関しての問題です。

(1)

地中電線路を管路式により施設する場合,その管路についての規定は,「電気設備技術基準の解釈」第120条の第2項第一号に,以下のとおり記載されています。

『一 電線を収める管は、これに加わる車両その他の重量物の圧力に耐えるものであること。』

したがって(1)に記載された施設方法は正しいです。

(2)

地中電線路の表示については,電気設備技術基準の解釈」第120条の第2項第二号に記載されています。

『二 高圧又は特別高圧の地中電線路には、次により表示を施すこと。ただし、需要場所に施設する高圧地中電線路であって、その長さが15m以下のものにあってはこの限りでない。
イ 物件の名称、管理者名及び電圧(需要場所に施設する場合にあっては、物件の名称及び管理者名を除く。)を表示すること。
ロ おおむね2mの間隔で表示すること。ただし、他人が立ち入らない場所又は当該電線路の位置が十分に認知できる場合は、この限りでない。』

(2)に記載された施設方法では,「電圧」の表示がないため,この方法は誤りです。

(3)

地中電線路を暗きょ式により施設する場合,その暗きょについての規定は,「電気設備技術基準の解釈」第120条の第3項第一号に,以下のとおり記載されています。

『一 暗きょは、車両その他の重量物の圧力に耐えるものであること。』

(3)に記載された施設方法も条文通りですので,この方法は正しいです。

(4)

地中電線路を暗きょ式により施設する場合,その防火措置については,「電気設備技術基準の解釈」第120条の第3項第二号に記載されています。

『二 次のいずれかにより、防火措置を施すこと。
イ 次のいずれかにより、地中電線に耐燃措置を施すこと。
 (イの詳細は省略)
ロ 暗きょ内に自動消火設備を施設すること。』

上記のとおり,地中電線に耐燃措置を施すか,暗きょ内に自動消火設備を施設することが求められています。(4)に記載された施設方法は,この前者の方法ですので,正しいです。

なお,耐燃措置の具体的は方法は,「電気設備技術基準の解釈」第120条の第3項第二号イ以降に色々と記載されています。

(5)

地中電線路を直接埋設式により施設する場合の規定は,「電気設備技術基準の解釈」第120条の第4項に記載されています。このうち,「車両の圧力を受けるおそれがある場所」に施設する場合の埋設深さの規定は,第4項の第一号に以下のとおり記載されています。

『一 地中電線の埋設深さは、車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所においては1.2m以上、その他の場所においては0.6m以上であること。ただし、使用するケーブルの種類、施設条件等を考慮し、これに加わる圧力に耐えるよう施設する場合はこの限りでない。』

(5)に記載されている方法によると,「車両の圧力を受けるおそれがある場所であるため,地中電線の埋設深さを1.5mとし,」とあり,上記の「車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所においては1.2m以上」という規定を満たしているため,埋設深さについては正しいです。

また,「堅ろうなトラフに収めた。」という箇所については,第4項の第二号に,

『二 地中電線を衝撃から防護するため、次のいずれかにより施設すること。
イ 地中電線を、堅ろうなトラフその他の防護物に収めること。』

という記載があり,この記載のとおりの方法であるため,これについても正しい方法と言えます。

したがって,(5)に記載された方法は正しいです。

 
以上より,誤っているものは(2)になります。

 

解答

(2)

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