第3種 法規 R2年度

電験三種 令和2年度 法規 問7『引込線に関する問題』

問題

次の文章は,「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく引込線に関する記述である。
a)引込線とは,\fbox{(ア)}及び需要場所の造営物の側面等に施設する電線であって,当該需要場所の\fbox{(イ)}に至るもの
b)\fbox{(ア)}とは,架空電線路の支持物から\fbox{(ウ)}を経ずに需要場所の\fbox{(エ)}に至る架空電線
c)\fbox{(オ)}とは,引込線のうち一需要場所の引込線から分岐して,支持物を経ないで他の需要場所の\fbox{(イ)}に至る部分の電線

上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

 

解説

引込線とは,電柱などから建物などへ電気を供給するための電線のことです。この引込線に関する用語の定義の問題です。

用語の定義は,「電気設備技術基準」および「電気設備技術基準の解釈」に記載されていますが,条文の定義から実際のものをイメージするのは少し大変ですので,それぞれの用語がどの電線に該当するのかを以下の図で先に示します。

この図をイメージしながら,問題を解いていきます。

a)

「引込線」は,「電気設備技術基準の解釈」第1条第10号で以下のように定義されています。

『引込線 架空引込線及び需要場所の造営物の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の引込口に至るもの』

したがって,(ア)には「架空引込線」,(イ)には「引込口」が入ります。

b)

「引込線」の定義において,「架空引込線」という用語が出てきましたが,この用語の定義についての問題です。

「架空引込線」は,「電気設備技術基準の解釈」第1条第9号に以下のように定義されています。

『架空引込線 架空電線路の支持物から他の支持物を経ずに需要場所の取付け点に至る架空電線』

したがって,(ウ)には「他の支持物」,(エ)には「取付け点」が入ります。

c)

「連接引込線」の定義についての問題です。

「連接引込線」の定義は,「電気設備技術基準」(解釈の方ではありません)の第1条第17号にあり,その内容は以下のとおりです。

『「連接引込線」とは、一需要場所の引込線(架空電線路の支持物から他の支持物を経ないで需要場所の取付け点に至る架空電線(架空電線路の電線をいう。以下同じ。)及び需要場所の造営物(土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱又は壁を有する工作物をいう。以下同じ。)の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の引込口に至るものをいう。)から分岐して、支持物を経ないで他の需要場所の引込口に至る部分の電線をいう。』

したがって,(オ)には「連接引込線」が入ります。

なお「支持物」は,「電気設備技術基準」第1条第16号において,

『「支持物」とは、木柱、鉄柱、鉄筋コンクリート柱及び鉄塔並びにこれらに類する工作物であって、電線又は弱電流電線若しくは光ファイバケーブルを支持することを主たる目的とするものをいう。』

と定義されています。したがって,解説の最初に記載した図で,建物の壁に電線を支えているものは,「支持物」には該当しません。

 

補足

「連接引込線」の定義は,条文中にある括弧の中身が長いため,読みづらくなっています。括弧は「引込線」の後ろについており,括弧の中身は「電気設備技術基準の解釈」で定義されている「引込線」の記載内容と表現は多少違うものの,同じ内容になっています。

すなわち,括弧の中身は「引込線」の定義を記載しているだけなので,この部分は削除して記載し直してみると,

『「連接引込線」とは、一需要場所の引込線から分岐して、支持物を経ないで他の需要場所の引込口に至る部分の電線をいう。』

と読みやすくなります。

引込線の定義が「電気設備技術基準」ではなく,その下の位置付けとなる「電気設備技術基準の解釈」で定義されているため,「電気設備技術基準」で引込線という用語を使う場合はその用語の説明が必要となり,それが括弧書きで記載されています。

 

解答

(3)

-第3種, 法規, R2年度