第3種 理論 R2年度

電験三種 令和2年度 理論 問9『交流回路に関する問題』

問題

図のように,R[Ω]の抵抗,インダクタンスL[H]のコイル,静電容量C[F]のコンデンサと電圧\dot V[V],角周波数\omega[rad/s]の交流電源からなる二つの回路AとBがある。両回路における図中の電圧ベクトルと電流ベクトルの位相の関係として,正しいものの組合せを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,ベクトル図における進み方向は反時計回りとする。

 

解説

回路Aは抵抗,コイル,コンデンサが電源と直列に接続されているため,各素子に流れる電流の大きさ,位相は同じで,各素子にかかる電圧の大きさ,位相が異なります。このため,回路Aについては,各素子にかかる電圧の位相関係がどうなっているかを問われています。

回路Bは抵抗,コイル,コンデンサが電源と並列に接続されているため,各素子にかかる電圧の大きさ,位相は同じで,各素子に流れる電流の大きさ,位相が異なります。このため,回路Bについては,各素子に流れる電流の位相関係がどうなっているのかが問われています。

素子毎の電圧,電流の位相関係は以下のとおりです。

  • 抵抗に流れる電流と抵抗にかかる電圧の位相は同じ
  • コイルに流れる電流の位相は,コイルにかかる電圧の位相よりも90°遅れている(電圧の位相が電流の位相よりも90°進んでいる)
  • コンデンサに流れる電流の位相は,コンデンサにかかる電圧の位相よりも90°進んでいる(電圧の位相が電流の位相よりも90°遅れている)

上記を踏まえて,回路A,Bそれぞれについて考えていきます。

 

回路A

回路Aは各素子に流れる電流の位相が同じですので,

  • 抵抗にかかる電圧の位相は,電流の位相と同じ
  • コイルにかかる電圧の位相は,電流の位相よりも90°進んでいる
  • コンデンサにかかる電圧の位相は,電流の位相よりも90°遅れている

となります。抵抗にかかる電圧と電流の位相は同じですので,抵抗にかかる電圧を基準にしてコイル,コンデンサにかかる電圧の位相を考えると

  • コイルにかかる電圧の位相は,抵抗にかかる電圧の位相よりも90°進んでいる
  • コンデンサにかかる電圧の位相は,抵抗にかかる電圧の位相よりも90°遅れている

となりますので,この関係を表している図を選択肢から選ぶと,(1)と(2)になります。

回路B

回路Bは各素子にかかる電圧の位相が同じですので,

  • 抵抗に流れる電流の位相は,電圧の位相と同じ
  • コイルに流れる電流の位相は,電圧の位相よりも90°遅れている
  • コンデンサに流れる電流の位相は,電圧の位相より90°進んでいる

となりますので,この関係を表している図を選択肢から選ぶと,(2)と(4)になります。

したがって,回路A,回路Bについて正しい位相関係を表している図は(2)となります。

なお,回路Aの選択肢には電源の電圧の位相が示されており,この位相が抵抗にかかる電圧の位相と同じになっています。回路が共振状態の場合には,この位相関係が成り立つかと思いますが,そうで無い場合は,電源の電圧の位相は抵抗にかかる電圧と同じにはならないと思います。

解答

(2)

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