法規 R4年度 第2種

電験二種 令和4年度 法規 問1『再生可能エネルギー発電設備の保安に関する問題』

問題

次の文章は,再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保に関する記述である。文中の\fbox{  }に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

a) 我が国において,固定価格買取り制度の導入後,太陽電池発電設備,風力発電設備等の再生可能エネルギー発電設備の導入件数が増加し,その多くは太陽電池発電設備である。また,資源エネルギー庁の調べによれば,太陽電池発電設備及び風力発電設備の出力別の導入件数では,それらの多くが一定の出力未満(太陽電池 50 kW 未満,風力 20 kW 未満)の\fbox{(1)} である。
b) 電気保安統計によれば,太陽電池発電設備については,事故件数や\fbox{(2)} ともに増加している。また,\fbox{(1)} を含む再生可能エネルギー発電設備の事故が社会的影響を及ぼした事案も発生している。
c) 再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保が不可欠であり,事故情報を収集し事故原因の究明や\fbox{(3)} を講じることが必要である。
d) このため,新たに,太陽電池発電設備(10 kW 以上 50 kW 未満)及び風力発電設備(20 kW 未満)の\fbox{(1)} についても,それらの所有者や占有者には,令和3年4月1日から\fbox{(4)} に基づく事故報告を行うことが義務付けられた。本報告の対象となる事故は,感電などによる死傷事故,電気火災事故,\fbox{(5)} ,主要電気工作物の破損事故,の四項目である。

〔問1の解答群〕
(イ)内燃力           (ロ)死傷者数
(ハ)崩落事故          (ニ)電気事業法
(ホ)事故率           (ヘ)垂直展開
(ト)稼働率           (チ)技術基準
(リ)小出力発電設備       (ヌ)発電支障事故
(ル)他の物件への損傷事故    (ヲ)再発防止策
(ワ)事業用電気工作物      (カ)供給対策
(ヨ)電気工事士法

 

解説

(1)

令和5年3月20日よりも前の電気事業法および電気事業法施行規則では,出力50kW未満の太陽電池発電設備,出力20kW未満の風力発電設備は,小出力発電設備として分類されていましたので,正解は「(リ)小出力発電設備」が正解です。

ただし,令和5年3月20日に施行された電気事業法および電気事業法施行規則において,小出力発電設備という分類は無くなり,出力50kW未満の太陽電池発電設備,出力20kW未満の風力発電設備は「小規模発電設備」という分類になっています。

 

(2)

事故件数が増えればその率も増えると考えれば,「(ホ)事故率」が正解となります。

 

(3)

再生可能エネルギー発電設備に関わらず,設備に事故が発生した場合は,その事故の原因を究明し,再度事故が発生しないように,再発防止策を実施することが必要です。
したがって,「(ヲ)再発防止策」が正解となります。

 

(4)

令和4年4月1日施行の電気事業法では,第106条第7項において,

『第百六条
7 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、一般用電気工作物(小出力発電設備に限る。)の所有者又は占有者に対し、必要な事項の報告又は資料の提出をさせることができる。』

と定められています。

したがって正解は「(ニ)電気事業法」になります。

なお,電気事業法では,「必要な事項の報告」となっているだけですが,電気事業法と紐づいている電気関係報告規則の第3条の2において,以下のとおり事故が発生した場合に報告が必要であることが定められています。

『第三条の二
一般用電気工作物(小出力発電設備(太陽電池発電設備(出力十キロワット以上のものに限る。)及び風力発電設備に限る。)に限る。以下この条において同じ。)の所有者又は占有者は、次の各号に掲げる事故が発生したときは、一般用電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に報告しなければならない。この場合において、二以上の号に該当する事故であつて報告先の産業保安監督部長が異なる事故は、経済産業大臣に報告しなければならない。 』
※ 令和4年12月1日施行 電気関係報告規則より抜粋

また,(1)でも説明したとおり,令和5年3月20日以降は規定の改正により,「小出力発電設備」という分類は無くなり,「小規模発電設備」という分類になりました。「小出力発電設備」は「一般用電気工作物」の扱いでしたが,「小規模発電設備」は新しく設定された「小規模事業用電気工作物」と「一般用電気工作物」に分けて扱われるようになりました。
「小規模発電設備」のうち,出力10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備,出力20kW未満の風力発電設備が「小規模事業用電気工作物」に該当します。出力が10kW未満の太陽電池発電設備のみが「一般用電気工作物」の扱いです。

新しい規定では以下のように変更されています。

『第三条の二
小規模事業用電気工作物を設置する者は、次の各号に掲げる事故が発生したときは、小規模事業用電気工作物の設置の場所を 管轄する産業保安監督部長に報告しなければならない。この場合において、二以上の号に該当する事故であつて報告先の産業保安監督部長が異なる事故は、経済産業大臣に報告しなければならない。』
※ 令和5年3月31日施行 電気関係報告規則より抜粋

事故が発生した場合に報告が必要であることに変わりはありません。

 

(5)

事故報告の対象となる事故については,電気関係報告規則の第3条の2において以下のとおり定められています。

『第三条の二
一般用電気工作物(小出力発電設備(太陽電池発電設備(出力十キロワット以上のものに限る。)及び風力発電設備に限る。)に限る。以下この条において同じ。)の所有者又は占有者は、次の各号に掲げる事故が発生したときは、一般用電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に報告しなければならない。この場合において、二以上の号に該当する事故であつて報告先の産業保安監督部長が異なる事故は、経済産業大臣に報告しなければならない。
一 感電又は電気工作物の破損若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故(死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る。)
二 電気火災事故(工作物にあつては、その半焼以上の場合に限る。)
三 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより、他の物件に損傷を与え、又はその機能の全部又は一部を損なわせた事故
四 一般用電気工作物に属する主要電気工作物の破損事故
※ 令和4年12月1日施行 電気関係報告規則より抜粋

上記の一から四に記載されているとおり,報告対象となる事故をまとめると,

・感電などによる死傷事故
・電気火災事故
・他の物件への損傷事故
・主要電気工作物の破損事故

ですので,正解は「(ル)他の物件への損傷事故」となります。

なお,小出力発電設備の分類が無くなったことにより,令和5年3月31日施行の電気関係報告規則の条文ではそれに関しての記載に変更がありますが,報告対象となる事故については変わりありません。参考に条文を以下に記載します。

『第三条の二
小規模事業用電気工作物を設置する者は、次の各号に掲げる事故が発生したときは、小規模事業用電気工作物の設置の場所を 管轄する産業保安監督部長に報告しなければならない。この場合において、二以上の号に該当する事故であつて報告先の産業保安監督部長が異なる事故は、経済産業大臣に報告しなければならない。
一 感電又は電気工作物の破損若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故(死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る。)
二 電気火災事故(工作物にあつては、その半焼以上の場合に限る。)
三 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより、他の物件に損傷を与え、又はその機能の全部又は一部を損なわせた事故
四 小規模事業用電気工作物に属する主要電気工作物の破損事故 』
※ 令和5年3月31日施行 電気関係報告規則より抜粋

 

解答

(1)リ (2)ホ (3)ヲ (4)ニ (5)ル

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