第3種 電力 R2年度

電験三種 令和2年度 電力 問7『真空遮断器に関する問題』

問題

真空遮断器に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)真空遮断器は,高真空状態のバルブの中で接点を開閉し,真空の優れた絶縁耐力を利用して消弧するものである。
(2)真空遮断器の開閉サージが高いことが懸念される場合,避雷器等を用いて,真空遮断器に接続される機器を保護することがある。
(3)真空遮断器は,小形軽量で電極の寿命が長く,保守も容易である。
(4)真空遮断器は,消弧媒体としてSF6ガスや油を使わない機器であり,多頻度動作にも適している。
(5)真空遮断器は経済性に優れるが,空気遮断器に比べて動作時の騒音が大きい。

 

解説

(1)

真空遮断器は,真空の持つ高い絶縁能力を利用した遮断器です。真空遮断器で電流を遮断するための部品は,真空バルブと呼ばれており,真空の容器の内部に固定電極,ベローズを介した可動電極が容器内に挿入されています。この真空バルブ内で接点を開閉することで,電流を遮断しています。
したがってこの記述は正しいです。

余談

「真空バルブ」という言葉ですが,なぜ「バルブ」という言葉がついているのか少し違和感があり,ネットで調べて見ました。バルブは一般的には,気体や液体などの流体が流れる管などに取付けられた,流量や圧力,方向を調整するための装置,弁のことを指します。真空を作るための装置では,真空を保つ空間を真空チャンバー(容器),真空を作るための真空ポンプ,容器とポンプの間に真空バルブが設置されており,大気と真空を遮断する役割を持っています。真空バルブでは,真空の気密を保つためにベローズが使用されることがあるようです。
真空遮断器の場合も,可動電極の箇所に真空と大気を遮断するためにベローズが使用されており,容器よりもバルブの方がイメージが近いことから,この箇所を真空バルブと呼んでいるのではないかと勝手に想像しています。

(2)

真空遮断器に限らず,開閉サージが高くなることが懸念される場合は,避雷器を設置することで過電圧を抑制することができます。これにより遮断器に接続される機器を保護することができます。
したがってこの記述は正しいです。

(3)

真空遮断器は,絶縁耐力が他の絶縁媒体(空気,SF6,絶縁油)よりも高いため,機器を小型化することができます。また機器の構成もシンプルなため,保守も容易になります。
したがってこの記述は正しいです。

(4)

真空遮断器は,真空の持つ高い絶縁性能により,電流遮断後の絶縁回復がきわめて早いため,多頻度動作にも適しています。
したがってこの記述は正しいです。

(5)

空気遮断器は,圧縮された空気を電流の遮断部に吹き付けて,アークを飛ばして消弧する遮断器です。空気遮断器は圧縮空気を吹き付けるときの騒音が大きいとう欠点があります。
したがってこの記述は誤りです。

 

解答

(5)

-第3種, 電力, R2年度