問題
次の文章は,「電気設備技術基準」に基づく架空電線路からの静電誘導作用または電磁誘導作用による感電の防止に関する記述である。
a)特別高圧の架空電線路は,\fbox{(ア)}誘導作用により弱電流電線路(電力保安通信設備を除く。)を通じて\fbox{(イ)}に危害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。
b)特別高圧の架空電線路は,通常の使用状態において,\fbox{(ウ)}誘導作用により人による感知のおそれがないよう,地表上1mにおける電界強度が\fbox{(エ)}kV/m以下になるように施設しなければならない。ただし,田畑,山林その他の人の往来が少ない場所において,\fbox{(イ)}に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は,この限りでない。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
解説
架空電線路からの静電誘導作用または電磁誘導作用による感電の防止に関しては,「電気設備技術基準」の第27条に記載があります。
a)
a)の条文は「電気設備技術基準」の第27条第2項に記載があり,その内容は以下のとおりです。
『2 特別高圧の架空電線路は、電磁誘導作用により弱電流電線路(電力保安通信設備を除く。)を通じて人体に危害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。』
したがって,(ア)の選択肢で正しいのは「電磁」,(イ)の選択肢で正しいのは「人体」となります。
b)
b)の条文は,「電気設備技術基準」の第27条第1項に記載があり,その内容は以下のとおりです。
『特別高圧の架空電線路は、通常の使用状態において、静電誘導作用により人による感知のおそれがないよう、地表上一メートルにおける電界強度が三キロボルト毎メートル以下になるように施設しなければならない。ただし、田畑、山林その他の人の往来が少ない場所において、人体に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は、この限りでない。』
したがって,(ウ)の選択肢で正しいのは「静電」,(エ)の選択肢で正しいのは「3」となります。
誘導作用には,電磁誘導作用と静電誘導作用があり,(ア)と(ウ)にそれぞれ入る用語はどちらなのか迷うかもしれません。
電磁誘導作用は,磁界により生じるものであり,その近くに弱電流電線があると電磁誘導作用により電流が生じます。一方,静電誘導作用は,電界により生じるものであり,その大きさは電界強度として表されます。
従って,条文の後ろに「弱電流電線路」という言葉がある方が「電磁誘導作用」,「電界強度」という言葉がある方は「静電誘導作用」と判断することができます。
解答
(1)